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ミャンマー

 テラジア発足の2020年、ミャンマー出身の多様な背景をもつ美術家、パフォーマー、音楽家らが集まり、『TERA』の制作に向けた準備をしていましたが、2021年2月の軍事クーデターにより、計画は遂行不可能になりました。表現の自由が奪われた非常に厳しい状況下で、一部のメンバーは匿名での芸術活動を続けています。
 「テラジア オンラインウィーク2021」では、上演という形態ではなく、安全のためアーティストの身元を伏せたまま、鑑賞者/参加者と協働できるバーチャルな参加型アートプロジェクトを企画しました。覆面のアーティストが、世界中から集まったさまざまな「マスク」を用いて、映像作品を制作・発表します。また現在も活動している4人のアーティストによるオンライン座談会を公開します。

Masking Death

制作期間:2021年10月~11月
公開開始:2021年11月27日(土)15:00[日本時間]

オンライン配信期間

2021年11月27日(土)15:00 以降、期間の定めなく公開

作品の見どころ

 「あなたはなぜ、どんな時に、マスクをしますか?」――いまや感染対策のため、毎日の生活に欠かせなくなったマスクですが、ミャンマー出身の覆面アーティストのカミズは、より広い意味での「マスク」あるいは「仮面」について問いかけます。
 コミュニティの中で生きる私たちは、無意識のうちに、時と場所に応じて、何らかのマスクを付けて自分の態度やふるまい、行動を覆っている。さらに、生きるため、生き延びるために、マスク/仮面を付けて状況を操ろうとすることさえもある。
 『Masking Death(マスキング・デス)』は、世界各地で隔離の時代を生きる人々が、それぞれの「生き延びるためのマスク」を描画アプリで自由に描き、アーティストと共に作り上げた協働創作です。

トーク

座談会 ミャンマー

ミャンマー出身のアーティストたちが、日本版『テラ』とタイの『TERA เถระ』で死生観というテーマがそれぞれどのように扱われたかを分析し、ミャンマー版の『TERA Myanmar』に向けたアイデアを語ります。また覆面アーティストのカミズは、自身の参加型プロジェクト『Masking Death』についても話します。

登壇:カミズ、ノラ、ラダナー、ングウェ

アーティスト

カミズ
Kamizu
アーティスト、アート・セラピスト。20年以上にわたってビジュアルアートの分野で活動し、国内外のアートプロジェクトやワークショップに参加する。アートは誰にでも平和と心の安らぎ(マインドフルネス)をもたらすことができると強く信じており、本人が気づいていなくとも、視点を変えればすべての人間がアーティストであると言う。アートが感情の旅として、人と人との交流、また人が自分自身や他者、そして自然とつながるためのプラットフォームとなることを願っている。作品はリサーチに基づき、手法は絵画やドローイングに限定されない。これまでにミャンマー、日本、マレーシアで4回の個展を開催したほか、多くの国際芸術祭、アートフェア、アーティスト・レジデンシーに参加。マレーシア、ミャンマー、カンボジア、インドネシア、フィリピンの5カ国の芸術文化プロジェクトSEA*5の創設メンバーでもある。また、ミャンマー、オーストリア、日本、香港、タイ、インドネシア、マレーシア、シンガポールで開催された20以上のグループ展に参加。近年は表現療法のスペースを設立し、アートとヒーリングのワークショップやプログラムを主催している。
ノラ
Nora
キン・テッター・ラッ(通称:ノラ)はミャンマーで生まれ育ち、2009年にマルチメディア・アーティストして活動を開始。現在はヤンゴンを拠点にする。
ノラの活動は常に変化する。初期の頃は、絵画と物語を用いたパフォーマンスを行い、ほとんどが自己発見と、自身が生まれ育った社会を反映していた。映像作家でもあり、さまざまな技法やメディアで実験しながら、マルチメディア・アーティストとして進化し続けている。
ングウェ
Ngu Nway
現代美術家、パフォーマンス・アーティスト。1991年生まれ、ピンマナー出身、現在はマンダレー在住。ウーティンマウン(アーティスト)とドーキンエールウィンの子。パントゥサンダー美術学校でドーチョー チョーアウンから、アリンダガー美術学校でウースーミンテインから指導を受ける。幼少期から多くの美術展やパフォーマンスに参加し、そのうち「Made by Heart」展では、亡くなった両親の記憶をテーマに、80点以上の絵を展示した。ングウェの作品のほとんどは自身の感情世界と環境をテーマにしており、現在の国内の人々の経験も扱う。自身のブランドCanvasではTシャツやバッグをデザインし、限定販売を行っている。
ラダナー
Radanar
2001年ヤンゴン生まれ。子どもの頃、タイのメーソートで欧米の慈善団体が運営する学校に約2年間通い、自由な文化やパフォーマンスに触れたことをきっかけに、ダンスや動きに興味を持って以来、人間の身体と動きに魅了されている。2018年に新ヤンゴン演劇協会(NYTI)の演劇ワークショップに参加し、同年よりコンテンポラリーダンスの指導者の元でダンスを学んでいる。ミャンマーではパフォーミングアートを学べる場が限られるため、外国の様々な文化団体による演劇やダンスのワークショップに参加し、自己研鑽に努めている。ラダナーは自然、心、身体のつながりを大切にしている。身体は器であり、芸術そのものだと考え、身体と心の芸術的な交流が多くの機会を開くと感じている。2019年、ヤンゴンでNYTIアンサンブルの一員として演劇『The Grand Balcony』(演出:Ruth Pongstapone, May Thet Zaw)に出演し、同年のBangkok International Performing Art Meeting(BIPAM)に招聘された。2020年は『The Knots』(演出:Anne-Kathrin Klatt)に出演した。